【救急】新生児・小児対応
体温管理
・新生児の保温は、いかに体温の喪失が防ぐかが極めて重要である。新生児の体温36.5℃であれば、1℃下がるごとに死亡するリスクが28%上昇する。
体温の喪失経路は、伝導、対流、蒸散、輻射である。
伝導:背中から体温が逃げていく。
対流:風に当たることで体温が低下する。屋外であれば風向き、自宅であれば扇風機やクーラーの風向きに注意する。
蒸散:水分が蒸発するときに周りの熱を奪うことで、体温が低下する。1枚目のタオルでしっかり拭いた後に、2枚目のタオルとアルミックスシートを使って、しっかりと保温する。
輻射:頭からも熱が逃げていくので、頭も保温。某消防では、救急車のお産セットの中に新生児用の帽子と手袋を入れている。
呼吸管理
・出生直後、手足の先だけの末梢性チアノーゼを認めることはよくあるため、処置の適応にはならない。しかし、口唇部や口腔粘膜、体幹部のチアノーゼは中枢性チアノーゼであるため、介入(人工呼吸等)が必要である。
・高濃度酸素投与と、低酸素状態の両方を避ける。
・酸素投与する時に、酸素マスクのゴムで被れる可能性があるのでフリーフローが推奨されている。
・一次性無呼吸と二次性無呼吸があり、出生直後に呼吸をしているが、その後呼吸が止まってしまうことを一次無呼吸という。その後も不安定に呼吸が止まることがある。
・出生直後の人工呼吸は、換気圧を40cmH₂0程度の高さを保つ。肺胞の中に溜まっている羊水を発散させるイメージ。
アンビュー社の新生児用BVMであれば、青いキャップを外して換気することで換気圧が40cmH₂O以上にならないように作られている。
レールダル社の新生児用BVMもそのまま使うことで。40cmH₂O以上にならないように作られている。
循環
・出生後は、生理的肺高血圧状態になっていることがあるため、右手の動脈血酸素飽和度が90%を超えるのに10分前後かかることもある。(NCPRのフローチャートを見ると、パルスオキシメーターの装着をそれまで重要視していない。一番最初に大切なのは、心拍数が100回以上あるかと、自発呼吸があるかどうか。特に信頼できるのは、心拍数の評価)
・臍帯を介した血液は、臍帯結紮を行わなくとも2〜5分後には自然に途絶する。
・必要であれば、胸郭包み込み圧迫法を第一選択する。背中からも押すことで2本指圧迫法よりも心拍出量が多い。
・出生後に除細動器が必要になることはない。出生直後に除細動が有効であるというエビデンスもないし、ショック適応波形であることもほとんどない。
その他
・筋緊張は、WM型で確認する。上肢が肘を曲げてWの形。下肢は膝を曲げてMの形。この形でなければ筋緊張の低下。