【救急】大動脈解離
概要
第29回救急隊員シンポジウムでの発表によると、ある地域での”急性大動脈解離”と最終診断が出た症例(CPAを除く)に対して、救急隊がアンダートリアージをしてしまった件数は、全体の33%に及ぶ。その原因を追求すべく、アンダートリアージをしてしまった事案での観察所見と対応した救急隊の所感をまとめた。その結果、アンダートリアージされた急性大動脈解離では、”症状の軽快”が多くの患者で見られたことが明らかになった。
大動脈解離は、さまざまな所見が見られる。また、急性心筋梗塞と全く同じ所見であるにも関わらず大動脈解離であることもある。患者を見た時に重症感があれば、迷わず三次救命センターを搬送先に指定するだろうが、ここで取り上げた”症状の軽快”という所見も大動脈解離に見られる所見として、頭に入れておくことが良いと思う。(例えば、意識消失があって今は特に主訴はない。さっきまでは胸痛と背部痛があったが今は改善している、一時的に右下肢が蒼白状態になったが短時間で軽快したなど。)
血圧の左右差を観察する方法(おおよそ20mmHgほどの差があれば左右差である)
1、患者の両方の橈骨動脈を同時に触れる。(なかなか分かりづらい)
2、自動血圧計、もしくは手動血圧計で測定し比較する。(数値で比較できるため有効であるが、状況によっては時間がかかることもある)
3、サチュレーションモニターを使って左右差を比較する。(⇦素早く簡易的!)
結論
傷病者接触直後は、サチュレーションモニターを使用し、迅速かつ簡易的に左右差があるかどうかを観察し、その後血圧計を用いて左右差を観察する方法が良いと思う。
・スタンフォードA型でもB型でも多様な所見を呈する。
・多様な症状が見られる大動脈解離では、疑うことから始まるので、疑うための情報や初見はたくさん持っておく。