【救急】アナフィラキシー

アナフィラキシーに関する講習会に参加してきた内容をフィードバックしたいと思います。皆さんに共有したい内容はこちらです。

アナフィラキシーの分類

アナフィラキシー

原因物質(抗原)により感作される準備期間の後、その原因物質が再び生体に接触することで引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応。

原因物質(抗原・アレルゲン)に対して、体の中からヒスタミンが放出されることによって、過剰な免疫反応が起こる。

 

食物依存性運動誘発アナフィラキシー

原因物質を摂取して、概ね4時間以内に、運動したことが引き金になる。

小・中学生に多い。特に男児に多い。

原因物質として、小麦関連であることが多い。

※小・中学校で昼休み中に救急要請があった場合は、この疾患の可能性を考える必要がある。

 

二相性アナフィラキシー

原因物質摂取後に、初期症状が見られたが、その後回復。

しかし、その後(多くは8時間以内)に1回目よりも強反応のアナフィラキシー症状。

※二相性反応と呼ばれるこの反応は、全体の1〜20%の頻度で見られる。現着後、回復していた場合でも可能性を視野に入れて活動する。

 

 

アナフィラキシーの症状と時間経過

・原因物質によって、進行速度が異なる。

 

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アレルゲン暴露から死亡に至る時間

 

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アレルゲンになりやすい食物



 

・所見として皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状、循環器症状がある。状態が深刻になるにつれて、(軽症)皮膚症状→消化器症状→呼吸器症状→(重症)循環器症状と進行していく。(ミュラー分類

・必ず消化器症状も確認しましょう。

 

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・病態の悪化が早く進行していく疾患なので、後手の対応にならないように、先手(オーバートリアージ)を覚悟する。

※個人的には、上記の表でグレード2に当たる所見が見られたら、ホットラインで三次医療機関を選定したいと思います。

 

 

下肢挙上の効果は、急速輸液200㎖〜300㎖の作用があるので、呼吸苦を伴っていなければ、積極的に実施する。

 

アナフィラキシーは、現場の救急隊の判断が試される疾患なのかな、と個人的には思います。原因となったアレルゲンの検索は、病院にいる医師や看護師にはできないですからね。原因検索を含めて、現場活動ができればいいなと考えています。食べた食物の成分表示が書かれているパッケージや実際に食べたものを医療機関に持っていくのも、ひとつのアイディアかも知れませんね。